場面次第では大化けするショットガン

2013年11月10日

レビューした装備

M870 タクティカル

東京マルイ

総合評価

3点（普通）

最近の自由参加型定例会では電動ガンのハイサイクル化
＝秒間辺りどれだけ相手がいる場所に弾を送り込めるかが
ひとつの勝因となっている中ではなかなか活躍しづらく、
多弾倉マグどころか箱マグが常用されているゲームでは
不利以外の何物でもない浪漫銃という認識のジャンル、
それがショットガン。

いくら複数同時発射がウリとはいえ、
1発づつコッキングしている時間を考えるとフルオート電動ガンには
どう頑張っても勝ち目はないワケで。
そう考えると定価で約3万5千円というのは
「ちょっと新しい銃を買ってみたwww」と
気軽に買い増し（買い替え）ることも躊躇され、
とどめに初期不良のひどさとその根本的解決には至っていない現実では
正直なところ、M870を使うくらいならば
同じカネでA&KのMINIMIを買ってばら撒くのが「勝敗」一点で見れば
二歩も三歩も早い。

‥なんでもありで勝敗にこだわるのであれば。

T.M.ショットガンは使えないのか？

3点（普通）

何を持って「使える」「使えない」を区別するかは
各個の判断に委ねるとして。

そもそもが森林フィールドで交戦距離は不特定、
四方八方から狙い狙われなどという戦局で
比較的近距離向けのショットガンを使いながら
全距離万能なアサルトライフルと正面切って戦おうなど
無謀以外の何物でもないし、
それで「勝てない」「使えない」というのは──

燃費自慢のハイブリッド車に物流トラックと同じ仕事をしろ、
と言うのと何ら変わりは無いワケで。
各々得意な場面があるでしょうが、と。

旧工場跡を行く

3点（普通）

M870はM14とほぼ同じ全長でありながら、
装弾数（実効装弾数）はハンドガンに劣り
発射レートも手動コッキングである以上は
ハイトルク仕様の電動ガンよりも遅い。
あらゆるエアソフトガンの中で飛び抜けているとすればそれは
「連続した面制圧が可能である」ということ。

これはモスカートなどのグレネードにも言えることで、
工場跡地を利用したインドアフィールドや
狭所への確実な打撃力を与える点については
流石の電動ガンでも難しい。
当然1発辺りの同時発射数はグレネード系に大きく劣るものの、
5連射（6発モード）を数回（シェルの数だけ）行うとなると
グレネードでは運用コストが非常に問題となる。
その点ではこのM870は他の追随を許さない
強力な相棒となる。

例えばIBF八王子のキルハウス内、
例えばCKF等の旧工場跡フィールドなどでは
充分警戒位に値する脅威といえる。

意味不「暴発チャンバーブレーク」

3点（普通）

とは言っても、このM870はどうやら設計に不備があるのか
それとも製造工程上での不具合かは判らないが
「肝心の6発モードで速射を繰り返すと簡単に壊れる」
という病気を抱えている。

＊おお　なんということた゛
　マルイ　よ！　　　　　　　　　　　　　　▼

＊メカホ゛　か゛　こわれてしまうとは
　なさけない！　　　　　　　　　　　　　　▼

＊そなたか゛
　つき゛のしゅうりをおえるには

　いっかけ゛つの　し゛かんか゛
　ひつようし゛ゃ！　　　　　　　　　　　　▼

しかも修理が終わったところで
根本的解決はされておらず、
「6発モードを多用しないで下さい」と
意味不明な添付書を寄越される始末。
どういうことなの‥‥？

ユーザー様に叱られるから

3点（普通）

現時点では多くのアウトドアフィールドで
M870が多数派である電動ガンの牙城に脅威を感じさせる要素は
正直言って皆無。
それどころかネタ扱い、戦力外として見られることも
少なからずある。
実際、勝ち負けにこだわっていると思しき同チーム参加者からは
あまり感じの良くない印象を受けたのは事実。

これが趣味ならこの程度で済むわけで、
業務において性能的に爆弾を抱えた用品利用者がいるのであれば
そりゃあ罵声のひとつでも浴びせるかもしれないから
当然といえば当然。

東京マルイ社へは次作へのたたき台として
大いにこのM870で出た問題点を徹底的に洗い出し
第2弾としてサイガ12あたりでも発売してほしいものだが‥。

素敵な外見で満足しましょ

3点（普通）

何のかんのと言いつつも、見た目はやっぱり格好良い。
VSR-10のようにスマートで瀟洒な外見は
M134バルカン砲やM60といった「いかにも」な銃器とは一線を画した
印象を受ける。
使いやすさのためにとストックポーチを付けても、
それ自体に必要があってそこにある、という説得力があり
RISやRASにアレコレ載せた後付品とも違う非常に高い装着感。

現在は他のエアソフトガンと一緒に壁掛けガンラックに飾られているが
これ一挺だけでの展示装飾というのもなかなか趣があって良いだろう。
勿論、近くに暖炉や鹿の生首剥製的なモノがあれば
雰囲気は申し分ないのだけど‥（苦笑）

平凡に沈む実射性能

3点（普通）

前述の通りM870は6発モードが存在するほか、
3発モードも選択できるので1シェル辺り5射or10射となる。
3発モードであれば集弾性や飛距離が向上するものの、
はたして面制圧が華たるショットガンに飛距離はどうなのか‥
と、いうコトで『敢えて』故障する確率の高い6発モードについて
重点的にスポットを当ててみる。

まず、6発モードでも2～30m前後の人型サイズであれば
充分に当てることができる。
勿論、1シェル丸々費やす前提での速射で、だ。
ハイレディの状態からサイトを覗いて狙い撃つ‥なんて作業は
スナイパーライフルかアサルトライフル辺りにでも任せればよく、
ショットガンはその散らばりを利用しておおよその目見当で
ラピットファイヤをくれてやれば良い。
究極、キルを取れなくても良い。
「カートの中のBB弾を使いきって排莢、次カートを装填」すること、
「自らの手でコッキングを繰り返しながらどんどん弾を射つ」ことこそが
ゲーム中におけるショットガンの使用を充分に満足させる要素だと
自分は確信している。

幸いなことにこの程度の距離であれば、
よほどあさっての方向に撃たない限りは
程よく散らばった弾が相手に飛来し、バリケードやブッシュに
相当引っ込まないとならなくなる。
相手が撃てない姿勢になるのだから、あとは周囲のライフルマンにでも
「あそこに敵がいるぞ～」と伝えておけば勝手に撃ち合ってくれる。
キルを取りたければ速やかにシェル交換を済ませ、
次に顔を出した瞬間文字通り「蜂の巣」にして差し上げればよろしい。
他にいるであろう敵チームの伏兵と
背部にいるであろう味方からの誤射には要注意だが‥