メインアーム: MP5A3
SAS CRWの貴重な流出写真の中でもさらに珍しい資料を紹介します。
世界中全ての軍特殊部隊の始祖にして,常に模範であり続けている英国特殊部隊SASだが、その中でも第22連隊所属、通称CRW(Counter-Revolutionary Wing=対革命ウイング)は、1980年のイラン大使館事件での衝撃的なメディア露出と同時に『対テロ』という新しい時代の概念そのものを世界にもたらした。
CQB、キルハウス、フラッシュバング、ルームクリーニング、ドアブリーチング、ダブルタップ等、我々が現在知る(あるいは未だ知り得ない)対テロ装備や技術のほとんどが彼らによる発明であることは言うまでもない。
米国陸軍特殊部隊グリーンベレー内ではデルタフォースが、海軍特殊部隊シールズ内ではDEVGRUがそれぞれこのCRWを模倣する形で編成されている。日本の陸上自衛隊における特殊部隊、第一空挺師団(通称 空挺レンジャー)内部には近年、特殊作戦群と呼ばれるやはりこのCRWに準ずる部隊が、デルタフォースをさらに模倣する形で編成された。
もともと否認性(デナイアビリティー)隠密性(シークレシー)を必要とする特殊部隊の中にあって、対テロ専門部隊である彼らの情報は最も厳重に守られており、その全貌を知ることは容易ではない。パイオニアとして創設より40年近くもたつCRWだが、その高名な知名度を裏腹に、未だにその姿をとらえた写真等情報の流出は最低限にとどめられている。
イラン大使館突入時に捕らえられた写真のセットと、スターリングマシンピストルを装備して極狭所突入訓練中の80年代後期と見られる写真数枚は有名だが、その他の流出写真を発掘するにはかなり苦労することになる。
ここで紹介するのは、どれも非常に希少な写真である。
80年代中頃、この右側の女性、じつは若きダイアナ妃である、言うまでもなく皇族は人質となる可能性が高く、非公開でCRWの救出訓練に参加してそのような事態の対処を学ぶ。
上写真の続き、チャールズ皇太子とダイアナ妃がCRW隊員と映っている。
イラン大使館時も含め80年代中頃までのガスマスクは、S6レスピレーターであった。ちなみに、写真のノーメックス製フード付き紺色アサルトスーツはイラン大使館の後に採用されたもので、事件時は戦車兵用黒色のカバーオールの中に、フードつきNBCスーツの上着を着込んでいた。肌を一切露出させないスタイルがトレードマークともいえるCRW隊員の風貌だが、彼らの対テロ突入専用フラッシュバングにはCSガスが最初から混入してあることから、その理由を察することができる。
写真は黒白だが、一般歩兵用S10ガスマスクと、ハンドガード下部にマウントされるタイプのマグライトにより80年代中期から後期ころとみられる写真。形成爆薬で壁にあけた突入孔の前で撮影している。状況によっては部屋にドアがあってもむしろ陽動に使い、ドアに銃口を向け身構えるであろうテロリストの裏を書いて、実際の突入隊員は反対方向の壁を爆破して突入してくる。
上写真の続き、シャッターや大型ドアを破壊して突入するヘビー級なノッカーが見える。
一般歩兵用S10ガスマスクとブローニングハイパワー拳銃、そして北アイルランドグローブと呼ばれる、窓ガラスを安全に殴り壊す為の手袋から、80年代中期から後期ごろとみられる写真。
上写真の続き。右側の隊員は一般歩兵用S10ガスマスクにアンタイフラッシュレンズ(いわばサングラス)を装着している。なぜかというと、世界最高練度を誇るSAS CRWの隊員達は、フラッシュバングが着地し爆発する瞬間には、もうすでに部屋の中に突入しているのだ。 足下には、訓練用に着色されたCSガスの茶色い霧が見える。
ブリストル社製アーマーから80年代後期から90年代初期と見られる写真。グリーンの手袋は、英空軍パイロット用レザーグローブ。
黒と紺色のアサルトスーツの混在から、90年代中期とみられる写真。SAS CRW専用の改修がほどこされたSF10ガスマスクは、S10にくらべ、左右どちらにでもキャニスターを装着でき、視野を広くするためフラットなレンズがついている。また、対テロ任務では水を飲む必要性が低いため、ドリンキングチューブは廃止されており、かわりに無線機のマイクを内蔵することができる。80年代後期より胸に装着するCT401PTTユニットと共に配備されている。ベルトキットは、イラン大使館事件時代当初から今日にいたるまで、ポールエバース社製の革製のものが使用されている。CRWでは、CSガスの充満した家屋内でフラッシュバングを多用するため、火災への防護を徹底する。ナイロン製品など引火したり熱で溶けやすい装備を嫌う傾向にある。
僕の所有するSAS CRWフル装備のコレクションはこちらで紹介しています(英語です)。可能な限りの実物で揃っていますので、こちらも参考にしていただければと思います。> http://svgr.jp/my/hirothajap/diaries/23113
ペンシルバニア州にて、実銃H&K MP5A2フルオート射撃の模様はこちら>http://svgr.jp/my/hirothajap/diaries/23081
実銃M4カービン射撃の模様はこちら>http://svgr.jp/my/hirothajap/diaries/23315
このコンテンツの公開範囲 インターネット全体
コメントを受け付ける範囲 サバゲーるメンバーまで
スポンサーリンク
コメント 3
これ以上ありません。
コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。
ヤブメディック
なるほど、ガスマスクはCSガスのためにありましたか。
流石に顔を隠すためだけに、ガスマスクというのはやりすぎですね。
時代により、装備は変わりつつあるようですが、
やっぱり黒装束ということだけは、変わらないようですね。
HIRO THA JAP
はい、一般に市販されている天然由来成分のペッパースプレーと違い、軍用のCSやRSガスは非致死性ながら神経計の毒ガスですので、吸入はもちろん、肌に触れただけで火傷のような傷みを与えます。ガスマスクはもちろん頭部まで、全身を防備したスタイルは、犯人逮捕や拠点制圧を目的とする訳ではない、対テロ行為専門の強行決戦部隊であるCRWらしさを表すものとなっています。
黒や濃紺という暗い『影』の色は、動体認識や距離感の認識を最も撹乱する色です、明るい昼間でも黒いBB弾は飛んでくるのも見えないし、どこから撃たれているかの予想もつかない、ということはエアソフトの世界でも知られています。特に人工物による影の多い市街地や家屋内での近接戦闘に有効なのは言うまでもありません。CRWでは、ガスマスクも含め、黒装束は死神をイメージさせ、その心理的威圧感も瞬時の判断を惑わせ遅らせる重要な要素だとしています。
ヤブメディック
細かな解説ありがとうございます。
なんとなくカッコいいからという理由で、
私も黒装束を着るようになりましたが、
意外な効果があるようでさらに愛着が湧きました(笑)。
ただ、ガスマスクを着ける勇気と視力は持ち合わせられないようです...。