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G&P M16 VN GBBR : Retro Black Rifle を極める。シリーズ第一話

近年、米国のAR(M16系のことをアメリカではARと呼びます)ファンのトレンドとして、あまりに一般化したモジュラー系M4セットアップから離れ、フルサイズ、冷戦時代の官給品、つまり『レトロ』スタイルの忠実再現を楽しもうというムーブメントがあります。
どこぞの部隊が使っている高価な最新オプティクスやら、何ぞの誰が開発したタクティ''クール''なカスタムファニチャーやらを目一杯満載させればそれがかっこいいんだ!、、、、みたいな。
でも銃本体の何倍ものお金を掛けたのに、あっという間に次から次の最新小物が、、、、みたいな。
M14並みに重くなっちまったカービンにもう腕がガクガクプルプル、気付けばとなりのレンジでキャリハンすら外れないドノーマルのアイアンサイトでパカパカ撃っている元本職のじっちゃんが自分の何倍ものスコアを、、、、みたいな。
そんなまさに資本主義の罠にドはまりしたお子様スタイルから脱却し、
ミリタリアにも似た、本来のコレクティヴファイヤアームズの世界に帰ろう、という大人なムーブメントこそが『レトロARビルド』であるといえる。

人気のレトロARはやはりM16の歴史を体現するベトナム世代、コルトのモデル番号で言う600番台のものであるが、いかんせんチマタに流通している各社の民間レシーバーはどれもA2系以降700番台の強化版である。
レトロを組もうとして古ーいサープラスのパーツをいくら買い集めてきても、フルオートシアーが入ってる軍用品じゃ即アウトなロウワーレシーヴァーに関しては、どうしてもA2系現用タイプの形をした既製品になってしまう。そこに目をつけたのがNodak Spudという会社で、レトロARビルダー達の声に答え、600系のロウワーレシーバー群を忠実に再現し、もちろん合法所持できるセミオートオンリーとし販売し、絶大な人気を得ている。http://www.nodakspud.com

レトロARビルダー達の運営する情報サイトの中でも、Nodak Spud社が全面協力し絶大な支持をうけるのがretroblackrifle.comである、実銃の所持がきわめて難しい日本では、オモチャメーカーが歴代広めてきた間違った知識が一般化していることが多々有ると感じるが、このサイト、ARファンを語るならばぜひ訪れてみることを奨める。
http://www.retroblackrifle.com

さて、人生の半分を米国で過ごした自分、日本へ帰国しても、やはりARという自由主義のアイデンティティーが手元に無いのは寂しいもの、しかしエアソフトの世界でも世の中『タクティ''クール''詐欺』真っ盛り。可能な限り実銃のアクション(銃の作動構造のこと)を再現したフルメタルGBBで、『レトロブラックライフル』を極めたい、そう思ってこのモデルを購入した。

ベースモデル:G&P M16 VN GBBR ProWin 20rdタイプマグ付き
まず最初に、刻印はColt Model 602のものとなっているが、もうすでに間違い。Colt Model 604 のものであるべきで M16と表記されているべきである。理由は次の写真で述べる。
通称パーシャルフェンスロウワー(マグウェル右側面のリブが、開状態のダストカバーを閉めやすいように浮かせる部分のみ存在し、マグキャッチ周辺には無い)はM603の初期型(XM16E1)とM604の初期型(M16初期型)のみにみられる特徴である。603と604の違いはそれぞれ陸軍用と空&海軍用の違い=アッパーレシーバー上フォワードアシストの有無のみであり、この銃はフォワードアシスト無しのアッパーがパーシャルフェンスのロウワーに乗っている状態であるから、これはすなわち空海軍ラインであるM604の初期型(M16初期型)、ということになる。M16という銃を採用しているのは空軍と海軍で、陸軍は採用していない。陸軍は当初ARに疑心的で、空&海軍と同様のものを採用することを拒否し、設計者ユージーンストーナーの『不必要でむしろ危険を誘発する』という主張を一方的に押して自分たち向けにはフォワードアシスト機構の追加をコルトに強要したことが603、604(陸軍向けと空&海軍向け)という社内ラインの別化をもたらした。G&P M16 VNであるが、Colt Model 604初期型(M16初期型)として刻印以外に間違っている部分に、ボルトグループの仕上げがある。フォアードアシスト用の溝がないのは良いが、パーシャルフェンスロウワー時代の初期型であるのでクローム仕上げが正しい。G&PとPrimeからそれぞれこの604用(溝無し)のクロームボルトキャリアーがでているようなので、入手して交換しようとおもう。同時にRA-TechのNPAS入りアルミノズルに交換すればボルトヘッド部分も違和感無い銀色となるだろう。デチューン用のフローティングバルブのためへっぽこな初速に落とされているのも、NPASで解決できる。
もう一つG&P M16 VNが間違っている部分にバットストックがある、クリーニングキットコンパートメントの無い、ラバーバットプレート付きなのは良いが、本来この初期型ストックには、CAR15などにみられるスイング式のスリングスウィヴェルが割りピン止めでついていなくてはおかしい。加えて、G&PのM16 VNではハンドガードは半ツヤ消しのABSであるようだが、グリップとストックは光沢のないザラザラした繊維質の強化ナイロン製とおもわれ、これはA2シリーズ700系以降の改良であることから、むしろファニチャー全てを正しい実銃初期型パーツに交換すべきかと思う。とりあえず手持ちの実物初期型ストックを装着してみる。
下はG&P 製、上が60年代実物初期型ストック
下部回り止めの突起の大きさと形状が異なり、実物ストックをそのままG&P 製ロウワーに装着すると、ネジをきつく締めていても1ミリほど左右にスイングしてしまう、そこで、G&P 製のU字をした回り止め突起をホットナイフで切り取り、実物の突起を多少整形した上でそれを囲むかたちに接着した。
ガッチリと装着できた。ツヤがなく繊維質で色もグレーがかったナイロン製の間違いグリップとの質感の差に注目。

ハンドガードは半ツヤ消し黒のABSで『オシイ!』という感じ、70年代以降生産の実物はこのテクスチャーであったらしい。どちらにせよグリップもハンドガードもツルツルテカテカした60年代実物を入手して交換したいと思う。 今回はここまで!第二話までには、実物ハンドガードやグリップ、クロームボルトなど今回あげたパーツ類が手元にあることを願おう。そしてピン類やレバー類など細かな部分の検証と再現へと進みたいと思う。まずはベースモデルが再現せんとしている空海軍のM604初期型を正確に再現してあげて、陸軍タイプ(フォワードアシスト付き)アッパーが入手出来次第それをXM16E1にする、という道のりだ。陸軍タイプのアッパーのみなんて商品は出ていないから、ViperTechあたりのA1フレームセットからアッパーのみ頂くことになりそうだが、、、。PrimeからXM16E1のフレームセットが出ていたが、とっくの昔に絶版だし、なにせ$600以上もレプリカのフレームにかけるくらいならNodak Spudローワーと放出品で実銃組んでアメリカに置いといたほうがまだいい。この記事を読んで『Prime持ってるで、譲るよ!』なんて天使が都合良く降臨してくれれば話は別だが、、、lol

では次回をおたのしみに!

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コメント 4

これ以上ありません。

江一 恵

江一 恵

冷戦期は銃はもちろん、あらゆる兵器の移り変わりがとにかくややこしくて何が正しいのかが判断できなかったのですが……
(まぁ、ただ単にその頃の銃にはあまり興味がなかっただけなんですが…^^;)

しかし、ここまで詳細な部分をキッパリと間違っていると指摘してくれると本当に頼もしいですね!
自分だったら「わぁーい!初期型M16だぁ!」で終わってます(笑)

流れ者

流れ者

M16/M4沼の一つが「ロアレシーバー刻印」
モデルや時期ごとでビミョーに細かく違ってるので、カスタムする時は
徹底的に調べ尽くさないと間違えることもあるっす(´・ω・`)

HIRO THA JAP

HIRO THA JAP

@江一 恵
haha、でもそろそろだれかが『レトロ』を極めてあげないと!ちなみに米空軍が最初にM604をM16として正式採用する以前からSASはいち早く目をつけ、ボルネオのジャングルで使うためこのM604を大量に購入しました。したがって80年代に至るまでSASの手ににぎられていたARはこのフォワードアシストの無いM604がほとんどでした。僕はベトナムだけじゃなくUKSFも好きなんでちょうどいいんですよね、このモデル。

HIRO THA JAP

HIRO THA JAP

@流れ者
いまのところ刻印にかんしてはthe least of my concernです、全体が時代考証に忠実なパーツできっちり組み上がってから、最後に絶妙な時代のコントラクトナンバーを叩き入れようとおもいます!

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