この映画に撃ち合いシーンは無い。でも戦争映画の傑作、などと言われている。
それは何故か。

戦争の暴きだす矛盾、悲惨、狂気とかを見せてくれるから。
ということで、私的印象による思いを書き連ねて見たいと思う。
例によってネタバレ配慮しないので、そういうのが嫌な人は読まないことをお勧めする。

今回見たのは、ロシア語版に英文字幕の奴だったので、もしかしたら意味取り違えてるとかニュアンスが違うとかもあるかも知れない(半分くらいしか読めなかったよ字幕・・・)。

さてさて。

主人公の少年は、古老の戒めを聞かず砂を掘る。
パルチザンが撤退する時に埋めて行った銃を掘り出すためだ。
やがて、SVT40を掘り当てた少年は帰宅しパルチザンに入隊すると母に言う。
「あたしとこの子達(双子の妹)を殺してから行け!」とまで反対されるが、結局行ってしまう。
パルチザン駐屯地では、子供だし余所者だし的な微妙な感じ。
そうこうしてる内に行軍指令が。
ただし、少年は連れて行ってもらえない。
同じく居残りを命じられた少女と悪態付き合うも、まあ2人しかいないので結局は仲良くなるが、偵察機によって駐屯地はバレており、ドイツ軍の砲撃を食らって壊滅。
「ウチの村へ行こう」と少年は少女を自分の村へ連れて行くが、人気がない。
自宅に戻り残ってた食事を食べているとき、ふと異変に気づく。

「島だ、みんな島にいる」と泥まみれになって沼を渡り、中洲?の島に上がってみると、確かに僅かな生き残りがいた(実は、少年が家を飛び出し少女が追いかけるとき、ちらっと虐殺された村人の積み上げられた死体が背景に映り、少女はそれに気づくのだが)。

銃を掘っていた少年に「余計なことをするな」と言った古老は全身やけどの重体で横たわっていた。
「オマエが銃を持ってきたのをドイツ兵は見ていた(偵察機が上空を飛びまわっていたので)。パルチザンの村だと虐殺に来た。俺はガソリンをかけられて火をつけられた。『殺してくれ』と言ったのに、奴らは笑っていた」

罪滅ぼしの気持ちもあってか、島にいた残留パルチザンと共に少年は食料の調達にいく。
既にドイツ占領下におかれた村にて、牛を脅し取ることに成功するが、帰路をドイツ軍のアンブッシュに遭遇、仲間そして牛も失ってしまう。

通りかかった別の村人に助けられ、その村人の息子に化けて村へ向かうが、そこは「アインザッツグルッペン」の襲撃を正に受けんとしていたのだった・・

兵隊として加担する戦争というより、自分が住んでいる場所が戦場になったら・・・という視点で描かれるが故に、全編やるせなさが伴い、それが戦争の負の側面を感じさせてくれる。
これが、高評価の理由ではないだろうか。
監督はエグいシーン控えめ(焼け爛れた古老と、地雷で飛ばされた足くらいだろうか。後は死体も肌色の塊がちらっと、程度だし後半の村虐殺も小屋は焼かれるけど中で焼けてる筈の村人とかは出さないし)だし、それもまた良かった。

アインザッツグルッペンが嬉々として殺戮するのには、抗日ドラマ的お約束臭を感じないではないが、この映画の政策年度(1985年。ちなみにソ連崩壊までまだ6年ある)を考えると、世に出すために仕方なかったかと理解できる。
まあそのアインザッツグルッペンも、最後は待ち伏せ食らって壊滅しちゃうんだが。街宣車みたいなトラックでエビ(たぶんザリガニ?)食ってたねーちゃんも胸と太ももさらして骸になってましたとさ。

数名の生き残りが捕虜になり、パルチザンに囲まれて言い訳するんだがこのヘンの命がかかった時の赤裸々な人間の対応もまたお約束なれど、「悲しいけどこれって戦争なのよねー」を演出している。
居直ったドイツ将校がいう「だからガキから殺すって言ったんだ!」が、ラストの主人公がヒトラーの肖像画を撃つたびに時間が戻っていくシーンに繋がる。

そう、君は赤ん坊のヒトラーを撃てるか?
(そういう写真が残っているのも興味深い事実だが、でも、だからこそ「自分は(コイツが後のアレ、と知らず)赤子ヒトラーを撃てるか」と自問自答してみるといい)

そういうこと諸々を、何も知らない無垢な少年が爺みたいに消耗していくこのストーリーを追いながら考えさせられる。
故に、傑作戦争映画の1つなどと呼ばれるのであろう。

ちなみに、他のレビュー記事でも散々ふれてるけど、この「炎628」というタイトルについて。
ベラルーシ(特にナチの虐殺が苛烈を極めたとのこと)の焼かれた村が628。
なんとなくクレージーキャッツの「五万節」っぽくもあるが、ね。

人参解放軍公式HP「人参日報」
http://hw001.wh.qit.ne.jp/broomhandle/

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